一昨日の土曜日(12/5)に品川プリンスホテルアネックスタワープリンスホールで『高血圧学術講演会I n TOKYO 〜降圧の質を考える〜』が開催されました。
最近のデータで、高血圧治療患者さんの40%強は十分な降圧管理下にないというデータも出ており、高血圧といわれ降圧薬を服用されてる患者さんの多い中、多くは十分な血圧コントロールが出来てないということです。
そこで今回の講演会では、高血圧治療で“質の良い治療”とは、ということをテーマに「家庭血圧の重要性」、「如何に服薬アドヒアランスを良好にするか」、「血圧変動の観点」と「パネルディスカッション」と4部に分けての講演会でした。
「家庭血圧の重要性」では、家庭での定期的な血圧計測により早朝高血圧(モーニングサージ)の推測が可能ということです。
多くの心血管イベントは未明〜早朝に多く、この早朝高血圧を確認することでイベント予防に寄与するこのと思われますし、血圧手帳もち毎朝血圧測定するということは患者さんの意識付けにもなると思われます。
「服薬アドヒアランス」は、服薬がしっかり遵守出来てる群と、出来ていない群とでは、入院のリスクや入院日数に有意な差があるようです。(これらは医療費への影響も大)
また降圧剤が2剤以上ある時は、患者さんがその時の状況で間引くことも知られてます。
こういったコンプライアンスも治療の“質”に関わると思われます。
また、「血圧変動」では、やはり変動が大きい患者さんほど、心血管イベントのリスク増大のみならす、認知症のリスクも上がるようです。
以上、こういったリスク回避に如何に服薬を遵守してもらうか。
また、数ある降圧薬をいかに使うかだということです。
最近ではARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)に、CCB(カルシウム拮抗薬)、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)、利尿剤と主なものがあります。(他にα/β遮断薬)
特にARBは、ARBはACE拮抗剤の改良版で副作用が少なく、降圧効果の他に腎保護作用、血管保護作用、心筋保護作用があり、新しいARBではPPAR-γ活性化作用があり、糖・脂質代謝を改善するとともに抗炎症・抗動脈硬化作用があるため臓器保護的な面もあります。
したがって、適応が広くCCB(降圧作用強く、安価)と同様に降圧剤の第一選択になりやすい。
以上降圧薬単剤以外に、最近では配合剤も各種出てきており、中にはARB+CCBの配合剤もあり、非常に有効な治療薬としで用いられてます。
配合剤の処方では内服薬を1剤でも減らすことで、患者さんへの服薬アドヒアランスへも寄与すると思われ重要なことと思われます。
以上踏まえた上で、少しでも患者さんに服薬面でも費用面でも負担にならない、有用な治療を模索し医療提供したいと思います。