昨日(10/25)ステーションホテル小倉で『北九州認知症疾患ケアセミナー』〜“かかりつけ医が知っておきたい認知症の対応”〜ということで開催されました。
座長は小倉蒲生病院院長井田能成先生で、一般演題として南ケ丘病院診療部長竹内裕二先生から「認知症患者におけるスボレキサントの使用経験」を、また特別講演では長崎の道ノ尾病院副院長芹田巧先生から「認知症の睡眠障害〜認知症ケアにための薬剤選択〜」の演題を拝聴いたしました。
今回のセミナーでは私自身認知症患者さんの不眠症、特に夜間興奮や徘徊、介護への抵抗と、コントロールに難渋することも多く、今回座長先生含めその道の専門の先生方がいかなる治療をされているのかと期待を持って拝聴いたしました。
前段の竹内先生では認知症患者さんのいわゆるBPSD(認知症周辺症状)で、物忘れ・うつ・妄想・幻覚・興奮・暴力・徘徊・不眠等々の中の“興奮”と“うつ”を中心にお話いただきました。
端的には、興奮に対してはリスペリドン、クエチアピンに、グラマリール、メマンチンが、うつに対してはミルタザピンやサイレース、レクサプロが、一般医には比較的使用しやすいのではというお話でした。
また、特別講演での芹田先生からは不眠症の一般的な概論のお話、“不眠”では入眠障害や睡眠維持困難、早期覚醒等々の類別がありますが、認知症患者さんでは、メラトニンが係る体内時計の乱れや、GABAの関与する恒常性維持機構の乱れ、オレキシン分泌低下に伴う覚醒調節機構の乱れ等での異常での不眠が多く、基本スボレキサントの有用性を論じておられました。
私自身認知症患者さんの不眠症は健常人の不眠症と違って、不眠=眠ろうとしない、あえて眠らないなどといった感を強く感じており、具体的な場面場面での治療薬剤選択でのお話ではありませんでしたが、比較的有用性の高いと思われる薬剤選択には参考になったと思いました。
ご講演ありがとうございました。