- 2016.11.08
- 〜・〜北九州高尿酸血症懇話会〜・〜
昨日(11/7)ホテルクラウンパレス小倉で『北九州高尿酸血症懇話会』が開催されました。
ちょっとマイナーな感の研究会ですが、“高尿酸血症”って=“痛風”というくらいで、わかってそうでわかり得てない感もあり参加でした。
演題は北九州戸畑区でご開業されてる医師会でも大先輩の後藤クリニック院長後藤誠一先生の「高尿酸血症におけるトピロリックの有用性について〜自験例の検討〜」と小倉記念病院副院長金井英俊先生の「高尿酸血症に対する治療の重要性について〜臓器保護の観点から〜」のご講演でした。
両先生とも尿酸とは何ぞや、高尿酸血症治療の歴史変遷、で、最近市場に出た新たな高尿酸血症薬の優位性等々について、お互いそれぞれの立場からお話をしていただきました。
「尿酸」は一般的には血液検査でも日陰者呼ばわりのような扱い(?)
尿酸が高いと、やれ「痛風」や「動脈硬化の原因」になるといわれ投薬、といったことになることが多いと思われます。
が、尿酸は非常に強い抗酸化力をもっており、一般に抗酸化力の強いといわれるビタミンCの約6倍もの抗酸化力を有してるといわれてます。(同時に、神経保護作用も有しますが)
ちなみにですが、人間は進化の過程で霊長類も2500万年前まではビタミンC合成が出来ていたものの、柑橘系などの豊富な森林に住むようになり容易にビタミンC摂取ができるようになり、次第にその合成の遺伝子欠損によりビタミンC合成ができなくなり、代わりに登場してきたのが「尿酸」ということのようです。
ただ、尿酸も血中濃度が7mg/dl以上では過飽和となり、血管や関節軟骨に沈着し痛風発作や腎機能障害などの発症となります。
やはり基本食事療法が主体となり肉や卵、ホルモンなどに気をつける指導となることが多く、特に過度な脱水や運動、飲酒などでは体内に“活性酸素”が大量に発生この過剰な活性酸素がDNAや細胞膜を傷つけ、究極にはDNA損傷引き起こし“がん”の発生となるというものです。
ただ、現在では高尿酸血症は生活習慣や、肥満、メタボリックシンドロームとの関わりで、その転帰として“脳心血管病”へのリスクが高まるということが現状では懸念もされてます。
いわゆる“痛風からのパラダイムシフト”が引き起こされ、血清尿酸値が高くなるにつれ、血糖異常での糖尿病や高血圧徴候、コレステロールや中性脂肪などの脂質異常症などとパラレルな相関があります。
こういった関係は“たかが尿酸、されど尿酸”ということで、今後は実地医家でも「尿酸」には今まで以上にしっかりとした指導が必要と戒められた気が致しました。
後藤先生、金井先生、ご講演ありがとうございました。