- 2016.09.21
- ・〜・北九州肝疾患勉強会・〜・
先週の16日金曜日、リーガロイヤルホテル小倉で『第2回北九州肝疾患勉強会』が開催されました。
この会は以前小倉記念病院消化器内科部長である久保善嗣先生(現、久保内科クリニック院長)が代表世話人で、“旧、北九州肝疾患研究会”の新たな会として発足し、今回が第2回目です。
今回は講演1で久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門(旧、第2内科)の准教授である井出達也先生からC型慢性肝炎治療薬である「ダクラタスビル・アスナプレビル治療1000例の実臨床成績—多施設共同研究からー」のご講演をいただきました。
ダクラタスビル・アスナプレビルは2014年7月に承認受けた国内初のIFN(インターフェロン)フリーの薬剤でしたが、多少遺伝子の耐性変異の問題もあり、治療前に薬剤耐性遺伝子検査を受ける必要性があり、SRLの協力もありクリニックでも検査治療が可能ではあったのですが、多少敷居の高いものであったことは確かです。
で、こういった耐性変異の問題等もあり多姿勢共同研究でどういった患者さんに有効性があるかなどの傾向を示されました。
実際は現状耐性変異の少ない、更なる有効性の高いIFNフリーの薬剤が出てきており、実地臨床でのこの薬剤の使用頻度は少ない状況となってますが、この薬剤は肝代謝でもあり、腎障害のある患者さんには使い良い薬剤ではあると思いますし、今後この薬剤に併用し新薬の治験もされており、今後C型慢性肝炎治療は更なる向上が期待できると考えます。
また、講演2では川崎医科大学肝胆膵内科学教授である日野啓輔先生より「HCV排除後の肝発癌抑制を考える」というご講演をいただきました。
中でもC型慢性肝炎加療後の発癌で、肝硬変や年齢(>65歳)、糖尿病、人種などでC型慢性肝炎治療後の発がんリスクが高いということが示されてました。他にも今よく言われている“サルコペニア”(身体の虚弱化、特に筋肉量減少状態)発がんリスクの他、予後不良も示されてます。
また、よく謂われてる糖尿病患者さんの発がんリスク(健常者と比して)胃がん=1.7倍、大腸がん=1.3倍、肝臓がん=2.5倍、膵臓がん=1.8倍、乳がん=1.2倍、前立腺がん=0.8倍、膀胱がん=1.2倍などなどで、やはり肝臓がんが軍を抜いて高く、これにHCV罹患し肝硬変まで進行しようものならただでさえ発がんリスクが高くなるのに加え、サルコペニア病態となり予後まで不良ということになる“負のスパイラル”ということです。
以上のご講演で、C型慢性肝炎の治療進歩はすざましいものがあり、著効率もほぼ100%近くまでなってきてますが、C型肝炎ウイルスがなくなったからといって安心はできないということを改めて感じた次第です。
ましてや最近ではC型慢性肝炎治療後にB型慢性肝炎の再活性化というケースもあります。
まだまだ重々慎重な加療と経過観察を要するということです。
ご講演の御二方の先生方、ありがとうございました。