- 2016.03.08
- 💐ディスプレイチェンジ💐
今回『なでしこフォーラム』は厚労省の定めた3月1日から3月8日「女性の健康習慣」に合わせ大分・別府での開催です。
女性は閉経を機にさまざまな病気にかかりやすくなります。
『女性のミカタ』プロジェクトでは、女性の健康寿命に関わる疾病として、骨粗鬆症や過活動膀胱、脂質異常症、ほか糖尿病や腰痛症、変形性関節症等々がありますが、中でも骨粗鬆症と過活動膀胱に視点をおいてのプロジェクトです。
これらの病気は、自覚症状がなく気づきにくい、また恥ずかしくて相談しづらいなどの理由により、知らないうちに進行し、健康的な日常生活を阻害してしまうことがあります。
平成25年度の厚労省が出したデータでは、男性平均寿命:80.21歳、健康寿命:71.19歳で、女性平均寿命:86.61歳、健康寿命:74.21歳であり、その差が男性で9.02歳、女性で12.4歳と女性の方に開きがあるということ。
また女性は50〜60歳代=では自分の家族の病気や介護が気になるというのが、70歳代以上では=自分の病気や介護が気になるという傾向が強く出ており、実際70歳を境に、70歳まででは家族など介護する方は女性が多いのですが、70歳代以降での自分の介護される方も女性が多いというデータがあります。
しかし、健康寿命というのは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義付けられ、その健康寿命は73.6歳で、その差は約13年です。
つまり、女性は、人生の実に「7分の1」にも及ぶ期間を、健康上の問題で日常生活が制限される状態で過ごしていることになります。
この平均寿命と健康寿命の差を1年でも短縮し、女性のみなさまにいつまでも健康で生き生きとした生活を送っていただきたい、それが「女性のミカタ」プロジェクトの目的です。
クリニックでは昨年の9月1ヶ月間にクリニックの50歳以上の患者さん、またその付き添い50歳以上の方へチェックシート記入していただき、健康寿命への気づきのお手伝い・指導を行いました。
今回この集中的に行ったアンケートをもとに大分・別府での『なでしこフォーラム』で基調講演をさせていただきました。
女性の「平均寿命=健康寿命」を目指しての〜かかりつけ医での「女性のミカタ(診方)」プロジェクト。
こういった講演会で少しでもこのプロジェクトが拡まり、健康寿命という意識が皆に出てくればと思います。
まずは“「かかりつけ医」が診る”、“ゲートキーパーになる”、ということが重要です。
これらの試みに賛同し、クリニックの患者さん方にも有益な医療提供が少しでも多くの医療機関でできればと思います。
昨日(3/1)はリーガロイヤルホテル小倉で『福岡県内科医会北九州ブロック学術講演会』が開催されました。
今回は近年出てきた新抗凝固剤NOAC(Novel Oral AntiCoagulants:ノアック)を中心に第1部は「私が今疑問に思うこと:心房細動の脳卒中予防」という演題で公益財団法人心臓血管研究所所長である山下武志先生が、第2部では「脳卒中医が抗凝固療法に求める事」という演題を杏林大学医学部脳卒中医学教室教授である平野照之先生から
ご講演いただきました。
山下先生からは疑問というより今NOAC流行りになってきて、ガイドラインや診断基準にとらわれすぎての診療傾向があるのは如何なものかという疑問からの山下先生持論の心房細動の脳卒中予防のお話展開でした。
第2部の平野先生からは脳卒中医の高凝固療法ということで、二次予防的な立場からのお話で、ここではやはり既存のワーファリンよる出血の懸念からNOACの推奨的なお話でした。
両公演とも非常にわかりやくお話していただきました。
特に山下先生の患者さんはアナログで推移しているのにガイドラインや診断基準などデジタルに診て機械的に治療枠にはめ込むことは如何なものか、ということでした。
十分理解もできることなのですが、実地医家ではやはりガイドラインや診断基準に沿っての治療選択になることが往々にしてあり、もし何か起こったらということが懸念されるものですが、患者さんと十分なコンセンサスが取れてればまず良いのではというお話もされてました。
ガイドライン・診断基準も重要ですが、患者さんとの十分な話し合いで納得の上での診療が如何に出来るかだとも思います。
両先生ご講演ありがとうございました。
昨日(2/28)ホテルニューオータニ東京で認知症フォーラム『認知症の診断と治療フォーラム2016』が開催されました。
このフォーラムは認知症介護研究・研修東京センター本間昭センター長、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動学教授新井平伊先生らが中心になっての会のようです。
講演内容は、
講演-1は「プライマリ・ケア医が実践できる認知症診療」を、いせ山川クリニック院長山川伸隆先生から、
講演-2では「認知症の人を支える医療〜BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理状態と訳され、認知症中核症状に対しての周辺症状として言われる)への対応の実際〜」を大分大学医学部付属病院総合内科・総合診療科診療教授吉岩あおい先生、
講演-3では「アルツハイマー型認知症の薬物療法〜何故リバスタッチは1ステップ漸増法の用法を追加したのか〜」を香川大学医学部精神神経医学講座教授中村祐先生らのご講演でした。
Opening remarkでは、本間先生が運転免許での75歳以上の高齢者講習において、H25年度では2.4%の高齢運転免許保持者が認知症で運転不可という判定であったらしいのですが、以外に約30%の高齢者が前認知症段階いわゆるMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)ではとなってるようです。
今後は更に認知症の増加が容易に見込められるわけで、今回の講演各セッションでも、まず実地医家で何ができるか、BPSDに対してご家族・身内はもちろん、地域の方々との協力や、また厚生労働省の推進している“新オレンジプラン”での認知症初期集中支援チームを自治体やプライマリー・ケア医が中心となって活動していくことが、認知症の早期発見につながるし、町ぐるみで認知症患者さんとの付き合いが積極的に関わるという講演内容でした。
これから超高齢化社会となり、認知症はcommon disease(通常疾患)のようになってくると思われるので、我々実地医家の関わりが更に重要になってくると思われます。
今までの医療連携を更にネットワークのように構築し、地域への医療貢献を目指したいと思います。
ご講演された先生方、ありがとうございました。