- 2015.08.17
- 〜・〜残暑見舞い申し上げます。〜・〜

今回は第39回の『一糖会』です。
この会は産業医科大学の第一内科学講座が主催されてる、医師のみならず看護師や管理栄養士などコメディカルにも門戸を開いてる会です。
今回の演者は順天堂大学の綿田裕孝教授の「インクレチン関連製剤の心血管作用」という演題でのご講演でした。
順天堂大学は糖尿病では全国の中心的牽引者である河盛教授の教室があり、河盛先生のもとで研究を数多くやられての自験例含めた講演でしたが、多少コメディカルに今回は難しい内容であったのではと思いました。
で、近年このインクレチン製剤が従来の糖尿病治療薬とは大きく異なる機序から血糖降下作用をもたらすDPP-4(dipeotidyl peptidase-4)阻害薬(経口薬)、GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬(注射薬)があり、これら新しい薬は今までにも何度かブログ掲載はしてきたのですが、今回はインクレチンの心血管作用ということで、あらためてインクレチンとは。
人間本来食事をすると小腸に存在している細胞の一部が刺激されて消化管ホルモンが分泌され、その消化管ホルモンの中には、すい臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を増加させる働きをもつものがいくつか存在しており、これらのホルモンを総称して「インクレチン」と呼ばれてます。
インクレチンにはGLP-1とGIPというホルモンがあり、それぞれの働きでβ細胞に作用します。近年登場したインクレチン製剤は、このインクレチンのなかでもGLP-1の体内での機序に着目してつくられた糖尿病薬です。
GLP-1は、食事による刺激によって小腸から分泌されるとβ細胞にあるGLP-1受容体に結合して、インスリン分泌を増加させる働きをします。この働きは、血液中のブドウ糖量に依存しているので、血中ブドウ糖濃度が80mg/dL以下では起こりません。(低血糖が少ない要因)
また、肝臓でのグルカゴンの分泌・胃酸の分泌・食欲中枢を抑えるなど、さまざまな生理作用をもっています。
また、DPP-4阻害薬は、GLP-1を分解するDPP-4の働きを妨げることでGLP-1が分解されるのを防いでGLP-1の血中濃度を高めます。これによりインスリン分泌が増強され血糖値が下がります。
GLP-1は血液中の血糖の濃度に依存します。そのため血糖依存的に、すなわち血糖値の上昇に伴ってインスリン分泌が増加するため、単独投与では低血糖になりにくいとされています。また、1日1~2回の投与で、そして食事の影響がないので食前・食後のどちらの投与でもよいことや、血糖コントロールの改善に伴う体重の増加のリスクが低いことなどが利点として挙げられています。
そこで今回の心血管への影響も、例えば急性心筋梗塞発症後再灌流に成功した患者に対する72時間にわたるGLP-1投与による心機能の有意な改善や、2型糖尿病患者におけるGLP-1の血流依存性血管拡張反応(FMD)の上昇、上述のシタグリプチンにおけるSDF-1αとEPCの増加など、特に心臓の洞結節にインクレチンが集中してるということで、心血管への前述の影響もあるらしく、インクレチンの今までの血糖低下作用はもちろん、体重減少や脂質系の改善作用、血管炎の炎症抑制など、生体には非常に有用な薬剤と思われます。
こういった薬剤を、他の従来薬との併用含め更なる患者さんへの有益な糖尿病治療の提供が求められると思われます。
今後も患者さんの糖尿病治療の質を考え、医療提供したいと思います。
昨日の8/6MSD社の北九州サテライトオフィスにおいて、今回改訂された『〜喘息予防・管理ガイドライン2015のポイント〜』ということでIT講演会がありました。
喘息予防・管理ガイドラインは喘息の予防、管理、治療などについて指針を示したもので 、ガイドラインは喘息の予防、管理、治療などについてどのように対処するのが望ましいかという指針(方向性)を示したものです。
喘息のガイドラインは世界各国で発表されていますが、国際指針として世界的な標準(国際指針)となっているのはGINA(Global Initiative for Asthma)ガイドラインです。わが国にも成人の喘息予防・管理ガイドライン(JGL)と小児の小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)があります。
ガイドラインは喘息死が増加していることを問題視し、世界各国で作成公表されました。
いずれのガイドライントも喘息は気道の炎症と定義し、治療では吸入ステロイド薬を第一選択薬と位置づけ、ピークフローメーターによる自己管理を推奨しています。なお、GINAでは成人の治療ステップ3~5では、吸入ステロイド薬に長期間作用性吸入β2刺激薬(=セレベント)の併用が、日常長期管理薬(毎日使用するコントローラー)の基本となっています。
これが今回「重症度に応じた治療(ステップ1~4)」から、「コントロールレベルによる治療法(治療ステップ1~5)へと改変されました。
喘息治療の目標は、症状や増悪がなく、薬剤の副作用がなく,呼吸機能を正常なレベルに維持することです。しかし、気道リモデリングの影響により、呼吸機能が正常値までは改善しない場合があるので、患者の自己最高値に基づいてのコントロールが重要です。
コントロールが良好であれば良好な状態を3ヶ月以上の維持を確認の上ステップ、もしくは不良ならステップアップと示されてます。
今回4段階の治療ステップに含まれる薬剤は、その作用機序のエビデンスそれぞれの守備範囲(治療スペクトラム)がイメージできる薬剤の特徴を考慮して選択されてます。
現在では喘息の患者さんのコントロールは吸入ステロイド登場以来非常に良好となってきており、前世代に比して格段のコントロールが得られているのも確かですが、やはり喫煙絡めてまだまだ十分なコントロールができてない患者さんもおられます。
今回の新たなガイドラインの改訂を吟味し、非専門医でも喘息患者さんの治療の質を上げることも重要だと思いますし、ガイドラインを確認することで専門医への適切な紹介タイミングが可能になると思われますし、これらが患者さんに対しての質の良い医療提供と思います。
今回の勉強機に更なる医療の質を高めて、良い医療提供ができればと思います。
先日の8/1土曜日に福岡で『第2回九州リバーフォーラム』が開催されました。
今回はヒルトン福岡シーホークで行われ、福岡大学消化器内科教授の向坂彰太郎先生が代表世話人で、九州各県から肝臓病を専門としている約200余名の先生方が参集されました。
今回は4session 6演題での構成で、B型肝炎、C型肝炎、肝癌、に一般演題(基調講演)、特別公演とあり、それぞれ肝臓のエキスパート(といっても参集されてる先生方が、それぞれエキスパートの先生方ですが)の先生が現在の最新のご講演をなされました。
特に今回特徴であったのが、B型肝炎では如何にS抗原陰転化が生命予後にとって重要かという改めての知見をお示し頂きましたし、C型肝炎では現状インターフェロン(IFN)フリーの経口薬も順次出てきており、その中でまだまだ潜在的な患者さんの掘り起こしに対しての患者さんの心理等類推した演題もあり、現在では如何に有効性の高い薬剤が出てきても、患者さんが世に埋まっていたのではと、私も以前より皮膚科や眼科等の先生方中心の掘り起こし講演を何度か行ったことがありますが、こういった活動も重要なことではと今回の講演でも改めて思いました。
また、特別講演の虎の門病院熊田博光先生には、いつも最新の情報を提供いただいてますが、今回はほぼ出揃うであろうIFNフリー経口薬の先には分子標的剤等の治験等もあるようで、今後の肝炎治療の新たな方向性を提示していただいたように思います。
いずれにせよ、この会は演者はもちろんですが、参集される先生方も肝臓では各々中心的立場の先生が多く、会後の情報交換会でも有益な時間となり、個人的には非常に有意義な会でした。
次回は来年1月に新小倉病院の副院長で肝臓病センター長でもある野村秀幸先生の代表世話人での開催も決まっております。
次回を楽しみにしたいと思います。
座長、演者の先生方、また、ご参集されて先生方、大濠公園の花火大会の日でもありましたが、お疲れさまでした。